夫婦間の金銭トラブルはどのように解決する?
夫婦間の金銭のトラブルは意外と多いです。
夫のものは妻のもの、妻のものは夫のもの・・が原則だからです。
しかし、婚姻前からの財産は別と考えることができます。
民法762条
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産はその特有財産とする。(所有名義の問題ではないので要注意!)
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は共有財産と推定する。
とはいえ、夫婦間に起こった金銭トラブルは婚姻期間中(同居期間中)に解決するのは物理的に難しいでしょう。例えば、夫にお金を返せといっても、そのお金は家計からでるしかない場合に、結局返済した金は家計に回るからです。もう何が何だかわかりません。
ちなみに夫婦間の金銭トラブルのある方に知っていて欲しい法律が下記のとおりです。
現在すぐに解決できなくても、離婚したとき、離婚に向けて別居状態に入ったときのために
知っておきたい法律です。
民法761条 日常の家事に関する債務の夫婦の連帯責任
例えば、妻が10万円の布団を業者から購入したとします。その場合の支払い義務は夫にも及ぶということです。(状況によってはクーリング・オフができます。)
では日常の家事に関する債務ってどの程度でしょうか?
妻が夫の不動産を勝手に売買契約した場合、夫には物件の引渡し債務があるのか
というとこれはありません。明らかに日常ではないですからね。
また、戸籍上は婚姻となっていても、明らかに別居して生計を別にしているなど婚姻生活が破綻しているようなケースもこの日常家事債務の連帯責任は発生しません。
民法754条 夫婦間の契約の取消権
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。
ただし、第三者の権利を害することは出来ない。
婚姻中はせっかく契約しても勝手に取り消せるということなのです。
ただし、実質的に婚姻生活が破綻しており、籍だけ一緒の場合は取り消すことはできません。
民法159条 夫婦間の権利の時効の停止
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6ヶ月を経過するまでのあいだは時効は完成しない。
例えば平成1年に婚姻し、翌年夫の固有財産から妻へ金100万円を貸し付けたとします。借用書も作りました。返済期限は翌年とします。
平成2年に返済期限がきましたが、とく弁済、督促もせず婚姻生活を続けました。
普通であれば平成12年に時効が完成し、妻が時効を援用したら夫は妻に弁済請求をできなくなります。
しかし、夫婦の場合は、この時効期間が適用されず
平成14年1月に離婚したとすると、時効の完成は平成14年7月まで伸びます。
これまでに法的手段を取れば借用書の効力は守られます。
ですので配偶者に金銭債権を有しており、離婚を考えている方、離婚したての方は
この6ヶ月を意識して下さい。