遺品整理の現場から
先日、遺品整理業を始めた時に契約書等を作成させていただいたお客様からご相談がありました。
部屋に住んでいた方が亡くなられて、法定相続人であるご両親が遺品整理業者様に遺品整理を頼まれたそうなんです。
私が作成させていただいた規約には「申込者は、家財道具の所有者本人か法的に認められた相続人(複数いる場合はその代表)、家財道具につき正当な権利をもつ者に限る。」というような内容の条項を入れておりました。
勝手に法的な権利のない者が遺品整理をして、相続争いなどに巻き込まれては大変だからです。
ところが、今回の相談があった案件については亡くなられた方は事業を営んでおり、借金がたくさんあったのでご両親は相続放棄をされたそうなのです。
相続放棄をしたということは、正式に言うと亡くなられた方の家財道具一式について、なんの権利も義務もないということになりますがそんなこと言ってたら、色々大変ですよね。
相続放棄したといっても、葬式はあげますし、遺品は整理しないといけません。
業者さんはご両親が相続放棄をしたにもかかわらず、遺品を整理(処分)したことで相続放棄がチャラにならないか心配していたそうです。
法的な手続きを正式にとるとすると裁判所に相談しなければいけないと思いますが
今回の場合は、亡くなられた方の家財には市場価値のあるものはないとのことでしたので
財産の処分をしたことにはならず、特段の事情がなければ問題にはならないであろうとお伝えしました。
特段の事情とは、例えば、亡くなられた方からご両親へ死亡前にお金が渡されていたご両親の経済力で借金を十分返済できる
など、お金を貸している金融機関が、どうしても相続放棄を否認して両親に返済させたい!
という事由があった場合は、何もしない方が良いとは思います。
この場合、大家さんか債権者かご両親が相続財産管理人の申し立てを家裁にしてから、相続財産管理人が処分していくという形になると思います。
しかし、
なんでもかんでも法定の手続き通りに行っていたら、物事は回らなくなります。
例えば、部屋がゴミ屋敷になっていり、虫が発生している場合は至急な対応が必要でしょうし、難しいところです。
本当にケースバイケースで対応が分かれてくるところではあると思いますので
弁護士などの専門家に相談したほうが良いですね。(おそらく意見が分かれるかと思いますが・・)
これから、相続放棄と遺品整理に関する問題は未婚者の増加等により増えてきそうな気もします。
法律では難しいですが一般的にどうすべきかという手引きのようなものが
公的に出されたら助かりますね。