NPO法人の利益相反行為(理事長との取引)

以前、ほぼ無価値(中古で相当数の年数の経過した帳簿価格1円)の自動車を、NPO法人(理事長Aさん・ほぼ活動休止状態)が Aさんが代表する別の法人に譲渡したい(名義移転)したいという相談を受けました。

金銭的には、無価値なので、中古車として売却は難しく、廃車するくらいしかないという状況です。

通常の自動車の名義移転の手続きであれば、車庫証明を取得し、運輸局にて所定の書類に法人の実印を捺印すれば手続きは完了します。

しかし、このケースはそう簡単にはできませんでした。
今回の場合は、特定非営利活動促進法17条の4の利益相反行為になるので所轄庁に特別代理人の選任という手続きを踏まなければいけません。

「NPO法人と理事の利益が相反する事項については、理事は代表権を有しない。この場合、所轄庁は利害関係人の請求により、又は食券で特別代理人を選任しなければならない」

という条文です。

たとえ、価値が0に近いような自動車でも上記の利益相反取引に当てはまります。

具体的に、利益相反になるのはどんなケースかというと

NPO法人(理事長Aさん)と Aさんの個人の取引(「自動車の売買・不動産の賃貸・不動産の売買などですね。)

特に手続き上、名義移転が必要となる自動車や不動産の取引の場合はそのまま手続きをしようとしてもできません。

NPO法人(理事長Aさん)と 株式会社●●(代表取締役Aさん)

の法人間取引でも同様です。

手間になるので特別代理人の選任を行いたくない!という時は、

Aさんの他に代表権のある理事を選任しておく

もしくは

Aさんとの直接的な取引はしない・・。

ことですね。

このようにNPO法人は通常の法人では、総会で決定できることを所轄庁を通さなければいけないケースが多く発生します。

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